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アトリエKAARA

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照屋さとし氏(KAARA代表)に聞く!

   

人が住むとはどういう事か?

アトリエKAARAの創設から今年で10年。建築士になったきっかけは「たまたまあたったから」と笑い、一番大事にしているものは「愛だろ愛!」と力説する照屋さんに、いろいろ聞いてみました。(^0^)

建築士まっしぐら!…では、なかったなぁ。
 なんだかんだと建築の仕事を始めてもう20年になるんです。今の自分は最初の頃からは想像がつかない。学校の先生をしていた父親から「手に職を持って働きなさい」と言われて育ちました。高校を卒業するまで何をしていいのかわからなかったけどね。大学で建築学科に進みましたが、たまたま受けたら受かった大学に行った感じで。
氏名  照屋さとし

周りの人たちを見ていて、(建築は)自分には向かないと思っていたんです。みんな好きで建築を学んでいる人ばかりだったから。1、2年生の頃はパチンコ屋で遊んでばかり…。それから3年生になって、製図の講義で「A」を取ったんです。先生にも誉められましたね。それで、「頑張ってみよう!」と思ったんです。(^^;)

 それでも建築を生業にしようとは考えなかったですね。「何になりたいか」と考えたとき、獣医になりたいと思ったこともあります。それで北海道まで行きました。でも、行ったのは冬。極寒の北海道では3メートルも雪が積もってて、「ここでは暮らしていけないなぁ」と思ってあきらめたんです。

 そうこうしているうちに大学の4年間は過ぎて、卒業。卒論のテーマは「焼き物」でした。そのために読谷村の焼き物の窯元で3ヵ月くらい働いたこともあって、こういう仕事もいいなぁと思いました。

 大学を卒業して沖縄に帰って、とりあえず建築に進んでみようかと思い大浜設計に入り、そこで伊江島の「土の宿」をつくるのに関わったんです。模型を作ったりしていました。それから増築を1件くらいしかやったことないんですけど。

 それから、島全体で300世帯くらいの多良間島で住宅をつくるのに関わりました。そこの村では誰かが家を建てるとき、村民がみんなでごちそうを作って、みんなにふるまうんですよ。そういうのを見ていて、「社会に出たら、人が家をつくるのは、そこに住むみんなのことなんだ」と思って、胸が熱くなってしまって。それが建築をやっていこうと決心したきっかけかな。

 建築士試験は多くの人の場合、二級建築士試験を受けて、合格したあとに一級建築士の試験を受けるんですが、僕の場合、すぐ一級建築士の試験を受けました。「どうせやるなら!」ってね。でも5回くらい受けたけど受からなかったなぁ。厳しかったデスね…(^^;)

家づくり、99%は施主のもの。1%のお手伝いが最大の幸せ。
 勤めていた設計事務所を辞めたのは、入ってから10年になったから。「節目の年だ!」とかで。それで「アトリエKAARA」を設立したんです。事務所になっているカーラ(瓦)屋根の家の“カーラ”です。看板は設立の記念に父が書いてくれたものです。イメージにピッタリ。カーラヤー(瓦屋根の家)は、以前祖父母が住んでいた家で、新しく事務所を借りるお金もなかったからそのまま使わせてもらいました(^^)

 始めた頃はタダ働きの時期が続いたり、苦しい時もありましたよ(^^;)何のツテもコネもない僕がなんとかやってこれたのは、親戚や友人たちのおかげ。声をかけてもらって、仕事をさせてもらってるから、これまでやってこれたんだと思います。

 住宅をつくる人たちにはいつも『夢を見せてください』と頼むんです。一つひとつの住宅には住む人の生活があって、スタイルがある。 住む人によっていろいろな形がいっぱいあってもいいなぁ、と思うから、僕の家は丸、三角、四角、いろいろな形があるんです。家づくりは人生の大事業だから思いっきり楽しんでほしい。住宅をつくる人たちとの打ち合わせは、『99%は施主のもの。1%は設計者のもの』というのが持論です。本当は施主がつくりたいように図面を引けたらいいんだけど、そうもいかないから、僕はそのお手伝いをしてるだけ。そのお手伝いができるのは僕の最大の幸せです。

 最近は2世帯住宅とか共同住宅を手がけることが多くなりました。一戸の建物が一つの家族だけの家ではなくて、ほかの人や家族とのかかわりがある家。そこに生まれる“間”がおもしろいと感じています。家族と外とのかかわり、社会とのかかわり、そして人とのかかわりを生む“間”。さまざまな家族や住まいを通して、いろんな経験や勉強をさせてもらっています。

 建築の仕事を20年やってきましたが、僕はこれからやっと建築の仕事をつめていくのだと思うんです。ディテールとか、自分なりにもっともっと、つきつめていくんだと。だからまだまだ“修行中”です。

旧石器時代の図面と段ボール模型は大切なツールです。
 住まいづくりの打ち合わせでは、“旧石器時代の手書きの図面”と“段ボールで作った模型”を使って説明するんですよ。設計者は建築のプロですが、住む人はそうじゃない。できるだけわかりやすく説明することを心がけてそうしているんです。僕が使っている手書きの図面は、一般的には図面ではないので、ほかのところでは人には見せないものです。段ボールで作る模型も50分の1の大きさのもの。僕は話すのが下手だし、でもイメージを正確に伝える努力をしなければ、お互いにいいものはできないから、図面や模型は大切なコミュニケーションツールでもあるんです。

照屋さんが話す自称“旧石器時代の手書きの図面”。打ち合わせ段階での住む人と設計する人、両方のイメージづくり、イメージの共有に役立っています。

 イメージが共有されることで、建築中や完成後のトラブルも少ないし、建築現場での変更もあまりありません。イメージがきちんと伝われば、それを図面にしていくのにはあまり時間はかかりませんから、その後は早いですよ。

 僕は“明るく、楽しく、やさしくネ!”がモットー。住まいづくりの作業は住む人たちと一緒に、明るく楽しい雰囲気で、わかりやすく、やさしく家づくりを進めていきたいんです。

生きること、そして歌うこと。
 建築の現場は好きですね。将来は一つひとつをもっと丁寧に、もっと時間をかけてつくるのが夢。建築士は心身ともに健康な人が相手ですから、とても楽しい仕事です。旅行が趣味で、一年に一度はどこかに出かけるようにしています。最近は主にヨーロッパに。この前、オランダに行った時に、ゆがんだ建物や家があって「それもありか!」と思いました。
 「建築とは、生きること、そして歌うこと」と学生の頃に先生が言っていました。その時はわからなかったけど、建築の仕事を通してそのことを教えられています。
 
(終わり)

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